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地平線と山が重なりあう日

遊びつかれた朝に

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2011年3月11日の震災の前、ビデオくんこと、VIDEOTAPEMUSICが吉祥寺のon goingというギャラリーで展示をするということがあり、ホライズンは、アフターパーティーに呼ばれ、特別へんてこ編成(ギャラリー仕様)で、ビデオくんと映像(アニメ)と音楽を一緒にやるという話で準備を進めていた。この時も、前日までギリギリになって、絵を描いたり、ビデオくんと僕で、「ああでもないこうでもない」と映像をつくっていた。11日の日にも最後の打ち合わせで、やること、やらなければいけないこと、用意する素材なんかを頭に浮かべながら、伴瀬と、ビデオくんと、僕で夜に会うことにしていた。ちょうど、そのとき、僕は、ビデオくんと「期待」の映像の編集なんかを一緒に何日かに分けてやっていたものだから、on goingで一緒にやる運びになったんだと記憶している。

その5日くらい前に、オープニングイベントがあり、あだち麗三郎と、アルフレッドビーチサンダルが歌っていたのを覚えている。僕は、そのオープニングイベントに顔を出させてもらった。イベントがはじまるの2時間前だっただろう、吉祥寺あたりを、ぐるぐる酒を呑みながら歩いていたら、近くの駐車場に、移動可能な車輪のような家と、ソーラーの力で最小限の電気をつくることができるモバイルハウスという簡素な乗り物のような家の中で、酒を呑んでいる人を見かけた。隣にいた友人が「この人は、坂口恭平さん、今度、本を出す予定なの。」と教えてくれた。僕は、硬い握手をして、「若者かな?」と思った。同じ年だった。その時、モバイルハウスの中にいた4人のうちの一人は磯辺凉だった。少し自己紹介など、話をして、ongoingに戻り、ビーチサンダルを聞いた。あだちくんと「富士山」を歌った。

11日。僕は、仕事をしていた。もう少しで仕事が終わるという時に、大きな地震があった。「あーわーわー」とかみんな言っている最中に、僕はささっと建物の外に出て、揺れを確認しにいった。というのは、嘘で、自分だけ助かろうとしていた。建物が崩れる気がしたからだ。しかし、崩れなかった。一緒に外に出ていたほんの数名と、「へへへ」みたいな笑い顔(お前、自分だけ助かろうと思ったろ、、と無言で言いあいながら)で建物に戻った。仕事場に戻り、テレビをつけたら、とんでもない有り様の映像が、続いていた。交通機関はストップした。ビデオくんに電話をかけた。電話が繋がらなかった。メールを出した。「今日は、仕事がすんなり終わらなそうです。終わり次第、すぐにかけつけます」とだけ送った。結局交通機関はマヒして、ただ事ではない雰囲気に包まれていた。ようやくビデオくんと繋がった。「明日のイベントは、主催者側から、キャンセルになりました、、、とありました。明日への準備は、しなくても良いことになりました。とりあえず家に帰って、様子を見てみましょう。」のようなやりとりをした。そして一緒に出ることになっていた、一度も会ったことのない小田島等さんとも、電話か、メールでやり取りをしていた。小田島さんから「こういうことで、イベントがなくなるのは遺憾。こういう時こそ、やらなきゃいけない。こういうことに屈してはいけない。」というやり取りをした。僕は小田島さんすごいなと思った。表現に生きる人なんやな、、と思った。まだいろんな事実が明らかになる前だった。とはいえ、壮絶な映像がテレビでは流れていた。11日の震災当日は、結局、(交通網がなくなっていたため)深夜に帰宅し、翌日のイベントのために、一日開けていた12日も、何もすることなくテレビを見ていた。

震災があって、その後いろんなことを考えたけど、ぼくはよくわからなかった。何を言えばいいのか、そこから乖離するのか、、、とか考えたけど、よくない方向に行きそうな気がした。結局「わからない」ですませる態度に出た。腹の中では考えながら、時折、信頼できる人に意見を聞いた。今はなき今井次郎さんにも「震災と、原発についてどういう風にお考えですか?」と聞いたのを思い出した。ほぼお客さんがいない円盤で2人でずっと話していたのを今、ふっと思い出した。今井次郎さん元気だろうか?

その後、坂口恭平さんが「独立国家のつくり方」という本のオープニングパーティーが六本木であったので行ってみた。九龍ジョーが司会をしていて、磯部凉がいた。僕は、大橋裕之さんと、ぶつくさぶつくさ「こういうクラブとか、オールナイトとか、いらっしゃりますか?ぼくどうやってとけ込んでいけばいいかわからないんですよね」と田舎から出てきた人のように話していた。大きなエピソードがあり、僕は、大橋さんと、小さな意気投合をして、話していた。

九龍ジョーと磯辺凉の対談形式の本「遊びつかれた朝に」が出た。。一気に読み終わった。僕が思い出したのは、先に書いたビデオくんと、震災前にやろうとしていたイベントのことだった。多分、いろいろそんな人たちが出てきたからだと思うが。先日、本の出版記念トークショーがあったので、九龍ジョーと磯辺凉に会いに行ってきた。トークショーは「とっちらかっていたでしょ」という意見もあったが、それ以上に、ひとつひとつのエピソードや街にかかわる話がとても面白かった。イメージが膨らんだ。その夜、僕は、新宿に一緒に連れて行ってもらい、新宿で紹興酒を延々と飲んだ。北沢夏音さん、前野健太さん、そこにいた人たちと、なんやかんや話した。いろいろ刺激を受けた。僕は、終電で帰ったのだが、多分の人たち、大方、朝まで飲んでいたんだろうなと思った。ああ。地で朝まで、新宿を練り歩く(かどうかはわかりませんが)2人をみて素晴らしいなと思った。街に住んでいる人だと思った。(ま、本当に勝手に思っただけで、そうではないと思うが)。

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そんなことを考えながら、今、VIDEOTAPEMUSICを聴いている。あだくろも聴いている。あだくろ、オラリーなんかを交えてやったコーラスグループバージョン、面白いなと思いました。

あと、個人的な告知を少しさせていただきます。

●6月18日「新曲の部屋」6曲目
http://newsongroom.tumblr.com/post/83989220952/6
新曲の部屋も、折り返し地点まできました。6月は、尊敬するアチコさんです。いろいろ話もたのしみです。チケットも残りわずかに、少なくなってきております。予約よろしくお願いいたします。

6月21日「紙コップス2ndCD-R『紙コップス2』レコ発」
@鶴舞KDハポン
ジェット達/黒岡オーケストラ(黒岡まさひろfromホライズン山下宅配便×名古屋学芸大学ブラスバンド部)/紙コップス
18:00/19:00 予約当日¥2,000 (D別)
紙コップスに華を。ということで、僕黒岡が、オーケストラ編成で10人くらいでやります。どうぞお楽しみに。

by horaizunyt2 | 2014-06-11 23:07 | くろおか
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